2014/12/29
空間と装飾の美

国籍や年齢、性別、あらゆる装飾をそぎ落とした
この5cmほどの小さな人物は、
装飾の贅を尽くしたこの空間に置かれて
何を感じているのでしょう?
東京滞在中、11月22日にリニューアルオープンしたばかりの

東京都庭園美術館を訪れました。

パリで和菓子を一緒に習っていた仲良しのR子ちゃんと、
美術館のエントランスで待ち合わせ。
私の大好きな美術館に付き合っていただきました。

ルネ・ラリックの美しいガラスレリーフ。
この旧朝香宮邸の正面玄関の前に立つたびに
わくわくします。
学生時代、そして社会人になってからも、
ふと訪れたくなる私のとっておきの空間。

アンリ・ラパンの「香水塔」。
1932年ラパンがデザインし、国立セーヴル製陶所で
製作されたもの。
当時は、上部の照明部分に香水を施し、
照明の熱で香りを漂わせたのだそうです。
なんて優雅なのでしょう。
大広間。

平日の午前中だというのに、
たくさんの方が訪れていました。
平日は写真撮影が認められています。
手前の小さな赤ちゃんを抱っこしている
美しいママがR子ちゃん。
4か月のTくんと二人で私に会うために、
初めてのお出かけをしてきてくれました。
アンリ・ラパンの油絵が張りめぐらされた

小客室。

淡いグリーンの濃淡で描かれた風景画。
白い絵の具のハイライトで表現された

水と光の揺らぎは白銀に輝いて見えます。
この部屋で暮らしたい。。。

R子ちゃんとTくん。
R子ちゃんの優しいまなざしに、
私もうっとり。。。
去年、奈良に遊びに来てくれてから、
ちょうど一年。
あっという間の一年だけど、
一年って、赤ちゃんがお腹の中で育って、
この世界に生まれてくる時間の長さ。
一年一年、大切に生きなくては!
私はこの一年、しっかり育ったかしら。。。
ここにも、内藤 礼さんの「小さいひと」

鏡を通して、何を見ているのでしょう。
私たちは、

鏡を使って、三人で記念撮影。

ラジエーターカバーから扉の取っ手に至るまで、
意匠を凝らした装飾が施され、
まさにアールデコ様式が目指したすべてが
ここにあります。
半円形の窓辺がエレガントな

大食堂。
ルネ・ラリックの照明器具のモチーフは
パイナップルとざくろ。
テーブルには、

アールデコの美しいグラスとキャラフ。

冬の明るく柔らかい日差しを受けて、
ガラスが映し出す優しい光と影の競演。
このまま見ていたい。。。
大食堂の壁面は銀灰色の塗装が施された

レオン・ブランショによるデザインの植物文様レリーフ。
ゴージャスだけど華美になりすぎない
アールデコの神髄のような空間。
2階は私的なスペース。

明るい日差しに輝く朝香宮殿下居間。
ラジエーターカバーもカーテンも壁紙も
すべて噴水をモチーフにした柄で統一されています。
感嘆のため息。。。
昭和の初めに、

美しいタイルを敷き詰めたバスルーム。
2階部分は宮内庁内匠寮の技師の仕事も多く、
まさに朝香宮邸は日仏融合の稀有な作品。

南側のベランダはご夫妻専用、
日本の大理石を市松模様に敷いた
モダンなデザイン。
「小さいひと」さん、

鏡を通して
あなたはどの時代を見ているのでしょう?
揺らぐガラスの通路を通ると、

完成したばかりの新館へ。

内藤 礼さんの展示を観て、
カフェでランチ。

庭園美術館オリジナルのノリタケ製食器で
いただくサンドイッチ。

アールデコ調デザインが素敵です。
揺らぐガラスの通路、

見る角度で

表情が変わります。

壁に映ったガラスのデコボコの影も
また面白く。
ガラスっていいなぁ。
ママに抱っこしてもらって
ぐっすり眠ってしまったTくんと

午後の明るい日差しよりも
晴れやかなR子ちゃんの笑顔。
今日は私に付き合ってくれてありがとう!
次に会うときは、Tくん、ミルクではなくて、
離乳食をもりもり食べているかな。
大きくなあれ。

庭園美術館の門扉に飾られたリース。
大きな松ぼっくりからサルノコシカケまで、
野趣あふれるデザイン。
大好きな空間に
大好きな装飾。
仲良しの友だちと
大切なぼうや。
しあわせで美しい時間をありがとう。。。
par Florileges*S